シークエンス1-2

  • 0031 イモリ

    イモリ

    「………………………………。え、これ。あ、は、はい。え〜〜〜、……。森永です。え?一汰です。森永一汰っていいます。みんな、え〜みんなっていうのはアダム、さんと、か、カジさん、エマさん、みつもっちゃん、それからえ〜そっか平子さん統子さん。とか、そういう。あーっと、みんな、みんな?それらの方たちには、イモリって呼ばれています。もりながいった、の、名前と苗字の頭を取ってそれを逆さに、逆に、して、って言うとなんか、むずかしいことしてるなって思いますね。日々。言葉ってむずかしいですね。……なんか指示。どうし、どうしたら。そっか。うーん。ちょっと、待ってくださいね。急に座れって言われたから……。
     はあ。はい。大丈夫です。あはは、もう大丈夫うんそうですね。ふ。えっと〜改めまして。改めます。改めますと一汰です。子供のころはずっと、そうですね。名前で呼ばれていました。いじめられてた、のかな、いま思えば。うーんなんか、たとえばぼくがこう、友達っていうかクラスメイトに触、れるじゃないですかこうやってたとえば。で、そしたら、一汰、いったあ〜!!!っておおげさに痛がってくるわけですよ。中学とかになってくるとなんかちょっとしたことで、一汰ぁ、お前それイタいって、とか言われ、るので。るから。なんかずっと嫌、嫌っていうほどでもなかったのかな、気持ち……悪い?もや〜っていう。っていうかでもぼく自身はこの名前嫌いじゃなくって。よくないですか。いそうでいないし。淘汰の汰なんで。地球からひとっこひとりいなくなってもお前だけは生き残れっていう。あ、ほんとに、そう父親が。そうなんです。すきだなあ、ぼくは。
     いまは、はい。大学は、えー無事にですね、はい。卒業して。知ってるか。3……2年か2年前?はい。そのころからずっと変わってないです。鷹峯、あの、佛教大を通り過ぎてもっともっと坂が強烈になるあの、そこにあるんです、そのホテルで客室清掃員、ひたすらですね。プロレス。もうやってないんですけど、だから筋肉は落ちないですね。シーツを剥がして、剥がして、剥がして……。カジさんの部屋だったところがいまぼくの部屋で、アダムさんと、アダムさんともだから2年住んでいることに、なる、のか、そうですね。うん……。………………………………。へ。ふふ。え?あ〜!そう、あの、ふ、いやいや違います。ちょっとさっき飲んでて。泣き上戸泣き、だから、いやほーんとに。えーと、で、あそうですね。ふふ。……ヨシノさん。っはは、そんなに見ないでください。すきですよ。ぼくはずっと、すきだなーと思って、でも違うじゃないですか。そういうことじゃないんですよね。みんな、そういうことじゃなかったんですよ。なんていうか。……。ぼくはずっと、あ、そうだ、そうです、ぼくはずっと、言葉が欲しかったんだと思います。言葉。名前?用意されていない、何か。誰かと作るしかない言葉。それでしかなくて。そういう意味で、そういう意味じゃなくても、ぼくはヨシノさんのことがすきですよ。ふふ」