シークエンス1-1

  • 0024 コモドオオトカゲ

    コモドオオトカゲ

    「わは、へーそうなんだ。もういいのね。えっとなに、なにからだっけ、あ、土井です。っへへ土井です。フルネーム?の方がいい?じゃあ土井美郷です。名前そのまんまで呼ばれることってほとんどなくて、親もみーちゃんだし。なんか機嫌悪いときとか怒られるときはみさと呼びだったな。ドイちゃんとか呼ばれることもあるけど、あ、友達にね、あるけど。だいたいはコモドって呼ばれ、ふふ呼ばれてます、ね。ふふふヘンなかんじだなあ!友達が知らん人に紹介するときもコモドって言ってる、言ってた、言ってるから、ほんとだいたいそう。由来、いやあ由来ひどくて、小学、3年忘れもせんわそのとき、クラスにディポっていうやつがいて、いやあだ名なんだよね、なんでディポなのかは忘れちゃったなあ知ってたっけな。アリは覚えているかもね。由来とかね。わからんけど。で、えーっと、で、まあディポ、いて、ディポすげえ意地悪で、性悪かなあ、で、図書室でなんか漫画、読んでたらつかつかつかって図鑑持ったディポ来て、これ似てるよな、お前これだよなって指差してきてそれが、コモドオオトカゲっていうイグアナっぽいやつで、そこからなんか広まっちゃって先生にも心配されたりしたけどまあずっと、ずっとです。あー好きな、人、好きな人かあいなかったな。もうそのときのわたし、全身でこう、怒り!だったからクラスで。日々肩で風切ってこう、こう、こう、いう感じで、そう。ガタイも良かったし今もだけど。ガタイ良いのにずっと本読んでたからなんかへんな、へんなふうだったんだろうね怖い感じ。でもぜんぜん、ぜんぜんじゃないか、普通に、普通、うんおとなしくて、でもコモドって呼ばれるようになってからは強くなって、逆にね、逆なのかなふふふなんでだろうねえ急に、それはその点はディポ感謝なんだけどなんか強気になれて、他の弱そうなやつら庇ったりした。男、女、先生だって関係ない拳で、というか肩で、こう、こう、こう!あはは、許さなかった、マジ全部。えー、で、なんだっけで、あ、で、なんで今ここに住んでいるのかっていうのか、そっか、それは、え、でもこれさあ話どうやって繋げるの、まいっか、頑張るしかないよね。まあわたしは喋るだけだから。で、えっとそのとき、そのときっていうのはコモドコモド呼ばれだしたころ、よく休む子がいて、あんまり喋らない、喋ったことそんなにないけど近所の図書館によくいるなあっていう。徳川慶喜の慶喜でヨシノって読むんだなあーへえーって。いて。そのヨシノくんがさ引っ越したんだよね。4年生のはじめだったかなあ。ふーんともなんとも思わなかったんだけど。引っ越すその日かもしかしたら違ったのかもしれないけどなんかわたしの家にヨシノくん、来て、紙渡してきて、手紙かと思ったら絵で、なんかコモドオオトカゲの絵で。すごいうまかったんだよね。で、わーって、わーって思って、わーってなって自然と握手して、握手、微笑、みたいな、それきり会ってなかったんだけどそのそれ、思い出、がけっこう美しくて、ささやかで、強くて美しい思い出としてわたしの中にこう、ずしっとあって。うん。生きててほしいなーっていうかそう、なんかそう、ねえ……。だから偶然じゃないんだよね。きっとね。それできっとあの大学に入ったでしょう。そしたら、えーっとわたしが4回のときか。ミツモトが入ってきたでしょう、ふふ。でミツモトはヨシノと、でしょう?すごいよね。なんかへんなの。なんかさあわかんない。知らなかったからね。いまも全然知らないし。でもなんかさあ。うーん。ふふふ。いや恥ずかしいなと思ってね急にね謎に。ふふ。生きててほしいんだよね。それはヨシノだけじゃなくて。みんなね」