空想を呼び声として、-SSC03

「ときどき、生きていると、この世の外へはみだしてるって思うこと、おまえ、ない? 別に悪いことをして、はみだすわけじゃないんだ。ただ内に入れないっつう、そういう気分。そういうとき、おれ、補欠になってる。今だって補欠だ」

小池昌代『タタド』所収「45文字」

「中間はないんだね?」
「中間はないの」と彼女は言った。「何故なら、そこには中間的なものが存在しないからなの」
「中間的なものが存在しないところには、中間も存在しない」と僕は言った。
「そう、中間的なものが存在しないところには、中間も存在しないの」
「犬が存在しないところには、犬小屋が存在しないように」
「そう、犬が存在しないところには、犬小屋が存在しないように」

村上春樹『国境の南、太陽の西』


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