与える
自分にとって普遍的なものを書きたい。
矛盾しているようだが、自分にとって、というのがきっと、大切だ。
プイグの手法。ウィンターソンの手法。
アルゼンチンの小説家、マヌエル・プイグは、おしゃべり好きだった叔母の話し方、話し声を、文体に取り入れて小説を書いていたそうだ。映画監督、脚本家を目指して、挫折した先で小説に手を差し伸べられた作家、プイグ。
クロコダイルとアリゲーター。どちらもワニだ。口を閉ざしているとき、下顎の歯が牙のように出るのがクロコダイル。歯が見えなくなるのがアリゲーター。歩くとき、お腹を地面から上げるのがクロコダイル。蛇のように、お腹を地面にすりつけて歩くのがアリゲーター。
タートルとトータス。どちらもカメ。カメ全般を指してタートル。カメ全般の中から、リクガメだけを指して、トータス。トータス松本はリクガメというわけだ。
人を書く。人が見る。人が食う。人が歩く。人が思う。人が寝る。人が生きる。書いたとき、書かれたその人がタートルなのか、トータスなのか。クロコダイルかアリゲーターか。考える。人を書く。人に名前を与える。人に行動を与える。人に思考を与え、人に語りを与える。そのとき、その語りを聞くあなた、語られるだれか、なにか、それらと、語る人との関係が、クロコダイルとアリゲーターの関係なのか、タートルとトータスの関係なのか。考える。そもそも与える側はわたしなのだろうか、ということも。プイグの手法。ウィンターソンの手法。ウィンターソンの手法はまた今度。