カーセックス(12)
倒された助手席の上で、タムラとワタナベは互い違いに横たわっている。シックスナイン、ってやつ、おれ好きだな。ワタナベが言って、その唐突な素朴さに、タムラはワタナベのペニスを咥えたまま爆笑する。味をしめたワタナベが、おれ好きだなー、と繰り返し、2回目以降はただただきもちわるいだけだからやめて、と言うタムラはまだ笑いを引きずっている。車体がもったりと揺れて、タムラはその不思議を思う。いまこの車は、わたしたちの体重、運動、によって、どの部分が、どう軋んで、どう撓んで、どう沈んで、どう押し戻されて、揺れているのだろう。それをタムラが口にすることはない。タムラもシックスナインがすきで、それをワタナベに言ったこともない。可能性、ってかんじ、するよね。ワタナベは言って、シックスナインが?と訊くタムラに、そうそう、とワタナベが応えるより先に、タムラは笑っている。車体は揺れていて、ワタナベはその不思議を思う。それをタムラに言うことはない。きもちいいな、とワタナベは言って、たのしいね、とタムラは言う。言いながらタムラは、わたしもあなたもこうやって、死ぬまで素朴さを守り合っていけたらいいね、と思っている。その思いを数秒噛み締めてから、タムラはワタナベのペニスを口から外し、尿道口におもいっきり息を吹きかける。やめろ!と言いながら、ワタナベが笑っている。