カーセックス(7)
サトヤマとマノは似たようなことを考えている。ハンドルを握るのはサトヤマで、後部座席で靴を脱いで仰向けになっているのはマノで、ふたりを乗せたジープのラングラーは西へと向かっている。マノは目覚めていて、ゆっくりと何度かまばたきをしていて、サトヤマはそれを知らない。サトヤマは眠気を堪えていて、マノはそれを知らない。マノもサトヤマも、拳を握りしめて叫びたい気持ちと、寝息や吐息だけで意思疎通をしていたい気持ちと、そのどちらでもない悲しさを抱えていて、お互いがそれを知っていて、お互いがそれを知りすぎないように、適切な距離を取っていて、いま、いま、いま、と数えるように、ナトリウムランプを視界の端に捉えている。休もう。ほとんど同時にふたりは言って、お互いそのことに特別驚きもせず、サトヤマは車線を変更して、マノは身体を起き上がらせて、同じ方向を見つめている間の時間を、ただ明けていく空。