0016 カーセックス(4)

カーセックス(4)

 ドウモトとカシワバラは対面座位でくっついたまま息を殺している。なんでこんなところに、こんなやつらがいるのか、ドウモトはそれ以外のことを考えられなくなってきている。冷静なのはカシワバラのほうで、外のやつらがなにかしてきたら車を走らせるなり警察に電話をかけるなりすればいい、クラクションを鳴らしたっていい、ちょっとくらい乱暴なことをされても殺されはしない、ここは安全だ、そう思っている。川が近いのだろうか。水の、大きく流れる音がかすかに、する。外のやつらの声がとぎれとぎれに聴こえる。おい〜マジでははは。こいつら動かんやん。動けや。おい。くはは。はよ腰動かせや。セックスしたらええやん。いやこれしてる最中か。うは〜。声がおかしい気がする。声変わり直後のような。案外若い、というか、子供なのだろうか。カシワバラは耳を澄ましているうちにだんだん眠くなってきていて、ドウモトのペニスはどんどん小さくなっていて、暖房の音がやたらうるさいような気がして、ふたりとも目を閉じて、外にいるやつらが車の周りから立ち去るのを、静かに待っている。